LayerPaint 説明書

Android用ペイントツール、LayerPaint の機能の説明をします。

https://play.google.com/store/apps/details?id=org.nattou.www.layerpaint (LayerPaint

1. メイン画面

LayerPaint が正常に起動した時の画面です。

画面下部に、幾つかのボタンが表示されています。これらのボタンは、常に把握していたい情報や、頻繁に使う機能が割り当てられています。これらのボタンは、タッチ操作でパネルを開閉したり、機能を実行します。

2. ツールボタン

下部の7つ (通常モードは5つ) のボタンを説明します。HDモードでない場合は、redo (やり直し) と flip (左右反転表示) が省かれています。

左から、

- カラーパネルの開閉

- undo (取り消し)

- redo (やり直し)

- 表示の左右反転

- レイヤーパネルの開閉

- ツールオプションパネルの開閉

- ツールの表示

になっています。以下、詳しく説明します。

< 1. カラーパネルの開閉 >

カラーパネルボタン (一番左のボタン) を押すと、パネルが開閉します。ここで色選択することで、線を描いたり、図形を描画したりする時に使う色を指定できますます。Aの領域をタッチ操作することで色相を、Bの領域を操作することで明るさを変化させます。

色には、「前景色」と「背景色」があり、二つの色を保存しておくことができます。colorボタンの手前の色が前景色で、奥が背景色です。ブラシや図形描画などの操作では、前景色を使って描画を行います。後述するグラデーションツールでは、「前景色から背景色」 をなめらかに変化させる事で、グラデーションを描画します。

カラーパネルのCの領域を押すことで、前景色と背景色を交換することができます。一時的に他の色を使いたい時など、前景色と背景色を切り替えることで実現できます。

Dの領域を押すと、前景色が 「カラーテーマ」 として適用します。下部のボタンやレイヤーパネルが前景色ベースになります。お使いのスマートフォンなどに合わせて設定ください。

< 2. undoボタン >

直前の操作を取り消します。メモリが許す限り、過去にさかのぼる事ができます。戻すことが出来ない時は、表示が薄くなっています。

< 3. redoボタン >

間違って undo しすぎた場合などに、操作を取り消すことができます。戻すことが出来ない時は、表示が薄くなっています。

< 4. 表示の左右反転>

キャンバスの表示を、一時的に左右反転させます。これは、表示を左右反転させているだけで、画像自体が反転するわけではありません。

「左向きの顔を描くのは得意だけど、右向きは上手く描けない」 という人は多いです。そんな時、最初から左右反転表示にして描くか、一時的に左右反転でチェックをしながら描く、という方法で活用できる機能です。

< 5. レイヤーパネルの開閉 >

LayerPaint には、画像をセロハンのような透明なシートを重ねるような形で編集できる、「レイヤー」 機能があります。レイヤー機能は便利ですが、少し複雑なので、詳しくは後述します。

< 6. ツールオプションの開閉 >

LayerPaint には、ブラシや矩形描画などのツールがあり、それらのツールには詳細な設定が必要なものがあります(現時点ではブラシと消しゴムだけです)。それらの、詳細設定が必要なツールの詳細設定をするためのパネルを開きます。詳しくは、ブラシオプションの項目で説明します。

< 7. ツールの表示 >

一番右のボタンは、ツールパネルを開閉するボタンです。ボタンには、現在選択しているツールが表示されています。

LayerPaint ではタッチ操作で画像を編集しますが、タッチした時にどういう処理をするのかは、現在のツールによって変わります。brush (ブラシ) ツールなら、タッチしている最中にブラシストロークが描画されます。fill (塗りつぶし) ツールなら、ドラッグ操作した範囲を前景色で塗りつぶします。

<brush> キャンバスをタッチすると線が描かれるツールです。

<eraser> キャンバスをタッチした箇所が消える、消しゴムツールです。

<line> タッチした箇所から指を離した箇所まで、直線を描くツールです。現在のブラシが使われます。

<fill> タッチした箇所から指を離した箇所まで、矩形(長方形) で塗りつぶすツールです。前景色が使われます。

<select> タッチした箇所から指を離した箇所まで、矩形 (長方形) を選択するツールです。「選択」 というのは、レイヤーに色を載せるのではなく、その名の通り、領域を選択する機能です。初期状態では、キャンバスは何も選択されていません。選択範囲が有効になっていると、選択されている部分しか描画処理が行われません。また、キャンバスのトリミングなど、範囲指定が必要な機能でも使われます。選択範囲を解除するには、選択範囲外を軽くタッチしてください。

<eyedropper> タッチした箇所の色を前景色として取り込むツールです。いわゆるスポイト機能。

<move> レイヤーを上下左右に移動させるツールです。

<bucket> 閉じた領域を塗りつぶすツールです。ブラシで○(マル) を描いた後、bucket ツールに切り替えて、○(マル)の中をタッチしてみてください。線画閉じている範囲内を、自動的に前景色で塗りつぶします。

<gradient> タッチした箇所から指を離した箇所まで、前景色と背景色を滑らかに変化させたグラデーションを描画します。

<hand> 手のひらツールです。ドラッグ操作でキャンバスの表示位置を移動させることができます。ただ、後述する 「マルチタッチ機能」 を使った操作の方が便利なので、そちらをお使いください。

<zoom in> タップすると、表示が拡大します。後述のマルチタッチ操作での拡大を推奨します。

<zoom out> タップすると、表示が縮小します。後述のマルチタッチ操作での縮小を推奨します。

3. ブラシオプション

ブラシの種類、ブラシの幅などを変更するのが、ブラシオプションです。下部ボタンの右から2番目の「+」 ボタンを押すと、ブラシオプションパネルが開きます。

Aの領域では、現在のブラシをプレビューしています。また、ここをタッチすることで、ブラシの種類を選択することができます。ブラシ選択画面が表示されるので、ここから必要なブラシをタッチして選択してください。

【ペン】 サインペンや付けペンのような、かっちりとした線を描くブラシです。

【入り抜きペン】 ストロークの先端と末端が細くなるペンです。

【鉛筆】 淡いタッチで表現できるペンです。

【エアブラシ】 柔らかなエッジのブラシです。彩色に使う事が多いです。

【水彩】 周囲の色が混ざる、水彩風のブラシです。感覚に慣れるまで頑張ってください。

【ふちペン】 縁取りが付くブラシです。フライドポテトが簡単に描けます。

Bの領域を左右にドラッグすると、ブラシサイズが変更されます。

Cの領域をタッチすると、ブラシの不透明度や、水彩ブラシの設定を変更する画面が表示されます。

【不透明度】 ブラシの不透明度を指定します。値が小さいほど、透明になります。

【混ざりやすさ (水彩)】 下地の色の影響をどれだけ受けるか設定します。

【色補充 (水彩)】 前景色が補充される早さです。

4. レイヤーパネル

下部のレイヤーボタンを押すと、このようなレイヤーパネルが表示されます。このパネルでは、レイヤーに関する情報や機能を提供しています。

レイヤーとは、透明なセロファンを重ねあわせて表示するような機能です。この図では、5枚のレイヤーが存在していることが分かります。画像の新規作成時は、レイヤーは1枚なので、必要に応じてレイヤーを追加・削除をして編集を行います。

各レイヤーは 「透明なセロファン紙」 のようなものと考えるのが良いでしょう。キャンバスに対して、「1枚目(一番下)のセロファン」 を置き、その上に 「2枚目のセロファン」 を重ね、更にその上に「3枚目のセロファン」 を重ね・・・と、画像を合成していくのが、レイヤー機能です。

レイヤー機能を使うと、線の重なりによるトラブルを防ぐことができます。例えば、漫画的なリンゴの絵を描くとします。先ずは、輪郭線を描きますよね。その中に、赤色を塗りこんでいき、赤いリンゴを表現していきます。線画と塗りを、別々のレイヤーにすることで、パーツごとの干渉をなくすことができます。

レイヤーは下から順番に合成されるので、上下の配置が重要となります。後述の機能で、上手く入れ替えてください。

Aの領域をタッチすると、レイヤーが追加されます。現在編集しているレイヤーの上に、新しいレイヤーが作成されます。レイヤー操作も、undo (取り消し) ボタンを押せば取り消すことができます。気軽に試してみてください。

Bの領域をタッチすると、現在編集しているレイヤーを破棄します。

Cの領域をタッチすると、現在編集しているレイヤーを、一つ下のレイヤーに移動させることができます。リンゴの色を塗る時などは、輪郭線のレイヤーの上に1個レイヤーを作り、一つ下のレイヤーに移動させた後、彩色していくと輪郭線が消えないで編集できます。

Dの領域では、レイヤーの不透明度を変化させることができます。現在選択しているレイヤーの不透明度を、左右ドラッグで操作します。下書きとして描いたレイヤーを透明に近づけ、トレースをしたり、半透明なレイヤーを合成することで色調を調整することができます。

Eの領域 をタッチすると、そのレイヤーを、下のレイヤーでクリッピングするか切り替えます。クリッピング機能については後述します。

Fの領域は、レイヤーの表示・非表示を切り替えます。

Gの領域をタッチすると、アクティブレイヤー(編集するレイヤー)を変更できます。ブラシや塗りつぶしの操作は、この現在選ばれているアクティブレイヤーに対して行われます。

レイヤーが画面内に収まり切らない時は、レイヤーを上下にドラッグ(タッチ)操作することで、隠れているレイヤーを表示させることができます。

<クリッピング機能とは?>

この画面では、3枚のレイヤーがあり、上の2枚のレイヤーをクリッピングを有効にしています。クリッピングを有効にすることで、「直下のレイヤーの領域外にはみ出ない」 という処理が可能になります。クリッピングをしないと、以下のような表示になります。

4. メニュー

比較的使うことが少ない操作や、大きな意味のある操作は、メニューにまとまっています。Android2.3以前では、メニューボタンを押せば上記の6つのメニューが表示されます。Android3.0以降では、画面上部から呼び出せます。

<キャンバスメニュー>

【新規作成】 キャンバスを新規作成します。心機一転、新たに書き直したい場合、実行してください。幅 640px 高さ 1024px ぐらいのキャンバスが大きくも小さくもなく、無難かもしれません。

【サイズ変更】 キャンバスの真ん中を中心に、キャンバスサイズを変更します。元のキャンバスサイズより小さければ切り抜かれ、大きければ余白ができます。

【トリミング】 選択ツールで選択した領域で、画像をトリミングします。画像の一部だけ切り出したい場合に、「1. 矩形選択ツールで切り出したい部分を選択」「2. トリミングメニューを実行」 してください。

<保存メニュー>

キャンバスを保存します。レイヤー情報を含んだデータを保存するため、PSD形式が用いられます。ファイル名は自動的に付けられます。

<複製保存メニュー>

「ここまでの作業で、いったんバックアップを取っておきたい」 という事は多いです。そんな時に、この「複製保存」 を実行すると、名前を変えた別のファイルになり、作業を続行します。

<共有メニュー>

共有とは、他のアプリにデータを送ることです。LayerPaint では、一時的なファイルを保存して、それを他のアプリに送り、処理を委ねています。

【PSDを共有】 レイヤー情報つきのPSD形式のデータを共有します(送ります)。

【画像を共有】 レイヤー情報のない、PNG形式のデータを共有します(送ります)。ブログやSNS・Twitter など、ソーシャルメディアにアップロードしたい場合は、こちらの共有を選んでください。

<レイヤーメニュー>

【クリア】 現在選択されているレイヤーを、クリア(透明)にします。

【複製】 現在選択されているレイヤーを複製します。

【下のレイヤーに統合】 現在選択されているレイヤーを、下のレイヤーに結合(合成)します。レイヤーが二枚以上存在し、一番下に配置されていない時に、実行可能です。

【左右反転】 レイヤーを左右反転します。ツールボタンの「左右反転表示」 と違い、レイヤーの画像情報(ピクセル情報) 自体を左右反転させます。選択範囲が存在する場合、選択範囲内を左右反転させます。

【インポート】 画像 (JPEG/PNGファイル) を指定し、新しいレイヤーとして追加します。

【インポート (敷き詰める)】 画像 (JPEG/PNGファイル) を指定し、新しいレイヤーに、タイルのようにパターンを敷き詰めます。ストライプや水玉のような、ループパターンを貼り付ける作業を想定しています。イラストの背景に使えます。パターンは別途用意してください。

http://patterns.nanya-kanya.info/size/32x32/

http://patterns.nanya-kanya.info/size/64x64/

http://www.patternhead.com/

<その他メニュー>

【読み込み】 LayerPaint で作業した画像 (PSD形式のファイル) を読み込みます。保存・複製保存は、SDカード内の “LayerPaint” フォルダに行われるので、別の環境で作業したファイルを読み込むには、そのフォルダにファイルを置いてください。読み込みは、LayerPaint で作成したファイルだけにしておくのが無難です。

【画像のインポート】 端末上に存在する、PNG形式やJPEG形式のファイルを読み込みます(開きます)。指定したファイルを元にした、新しいキャンバスが作成されます。

【画像のエクスポート】 キャンバスの内容を、PNG形式で保存します。

【設定】 環境設定を行います。詳しくは後述します。

5. マルチタッチ機能の活用

マルチタッチ操作をすると、ツールを切り替えずに画面をスクロールしたり、画面を拡大・縮小表示することができます。具体的な動作に関しては、GooglePlay の LayerPaint のページに添付されている動画をご覧ください。

<スクロール >

二本の指先で画面をタッチし、そのまま上下左右に引きずります。ツールメニューの手のひらツールよりスムーズに動作するので、オススメです。

< 拡大縮小 >

 二本の指先で画面をタッチし、指の間隔を広げると拡大表示され、指の間隔を狭めると縮小表示されます。ツールメニューの拡大縮小ボタンより、スムーズに行えるのでオススメです。

6. 環境設定

【マルチタッチの使用】 マルチタッチ操作を有効にします。無効にする理由は特にないでしょう。

【高品質レンダリングを有効にする】 デフォルトの状態では、特定の倍率で表示した際に、表示に荒れが生じてしまいます。これは処理速度を優先しているためです。ですが、このチェックを有効にすると画質が格段に向上する代わりに、表示の快適さが多少損なわれます。個人的には、有効にするのをオススメします。

【筆圧を有効にする】 後述します。

【グリッド表示を有効にする】 グリッドを表示するかしかないか選択します。

【HDモード】 HDモードが有効だと、下部のボタンが7個になり、画面が広く使えます。ただ、画面が小さい端末だとボタンが押しにくくなるという欠点もあります。HDモードが無効だと、ボタンは5つ表示されます。好きな方をお選びください。

【音量キーをundo-redoに割り当てる】 音量キーをUndo/Redoに割り当てます。スマートフォンで絵を描く際、人差し指や親指で取り消し・やり直しができるようになり、作業の効率化が図れます。

【シングルタッチ無効化】 スタイラス以外のシングルタッチを無効化しますす。マルチタッチはそのまま使えます。Android4.0以降のみ対応しています。

7. 筆圧感知 (Galaxy Note / ThinkPad Tablet など)

LayerPaint では、筆圧対応端末 (Galaxy Note / ThinkPad Tablet / HTC Flyer など) を使った、スタイラス(ペン) の筆圧に対応したブラシ描画が可能です。例えば、通常ペンを使うと、筆圧を低めにすると細い線が、高い筆圧を掛ければ太い線が描画できます。

筆圧機能はデフォルトではオフになっています。これは、筆圧を有効にした時に、指先でのブラシ動作が不定になるためです。一般的な (筆圧未対応の) Android端末では、筆圧は有効にしないでください。また、筆圧を有効にした場合は、スタイラスでブラシ処理を行なってください。

筆圧感知は、前述の 【環境設定】 メニューから行えます。

8. ファイル形式について

画像はSDカード上に、ファイルとして保存されます。画像のデータは、「フォーマット」と呼ばれる、用途によって異なった形式で保存されます。

LayerPaint では、レイヤーを扱うので、レイヤー構造を保存できる業界標準の「PSDフォーマット」 を使って保存しています。LayerPaint はもちろん、一般的なPC用CGツールで開くことができます。LayerPaint でラフを描いて、PCで続きを描く・・・なども可能です。

【画像のエクスポート】 を行った際に出力(エクスポート) されるのは、PNG形式のデータです。PNG形式のデータは、レイヤー構造を保持できない一般的な画像データです。ウェブブラウザ等で見ることができ、汎用性が高いフォーマットです。また、JPEG形式とは違って、画像の劣化が生じません。

JPEG形式は、写真などの保存に適したフォーマットです。高い圧縮率を誇り、保存時の要領が小さくな済みます。ただ、「不可逆圧縮」 という、画像が劣化するという難点があります。遠目では分かりませんが、拡大して見るとノイズが走っている事が分かります。

まとめると、

PSD形式 : LayerPaint の標準形式。レイヤーを保存できる。

PNG形式 : LayerPaint でエクスポートした時の形式。汎用性が高い。

JPEG形式 : デジカメでの写真の保存等に使われる画像形式。よく見ると劣化している。

という感じになります。上手く使い分けていきましょう。